誰しもが、心の中にずっと残っている思い出の一曲があるはず…音楽とは人生だ…。
ーアッチ・カタスミーノ(1989~)
今回ご紹介させていただく1曲は、安藤裕子「サイハテ」である。当コーナー初の女性シンガーソングライター楽曲である。
暖かく、どこか幻想的な浮遊感を纏った雰囲気が魅力の安藤裕子である。正直私はそこまで詳しく知らない(結構こういうパターンはございます)。ただ、「サイハテ」という曲に関しては非常に狂おしく好きなのである!
2013年リリースのアルバム「グッド・バイ」の収録曲である。
ピアノ・ドラム・ベースのトリオ編成を基調としたアンサンブルをバックに繰り広げられるアップテンポなナンバー。編成自体はシンプルでありながらも、シンプル故に個々のサウンドが力強くぶつかり合い、生々しいグルーヴがビンビンに感じ取れるのである。
イントロ、ピアノの一音目で脳天がヤラれるのだ。まるで鮮烈な真夏の閃光が差し掛かるような、眩しい光とともに一気に新世界が開いていくような感覚になるのだ。そして、このサウンドとどこまでも行けるような気分になるのだ。
鍵盤がハネッハネなのが最高に気持ち良い。こういうの完全に私のツボです。躍動しているのである。ハネてればハネてるだけ良いですからね。
1曲を通して繰り広げられる“静と動”もとい抑揚がまた美しいのである。これもまたシンプルな編成で一つ一つのサウンドが明瞭だからこそより活きてくる部分であり、まさに生物のような“呼吸”がそこには感じられるのである。
そして安藤裕子のボーカルが激情的に刺さる。儚さと力強さが共存した幻想的な楽曲の世界観を見事に表現しているのである。
とにかく全体的に雰囲気が最高。センチメンタルでありエモーショナルであり、どこか覚束ない子どもの頃に還るような気持ちになれるのである。
安藤裕子自体はそんなに聴かないのだが、この曲をこんなに愛すようになったのは出会いが素晴らしかったからである。忘れもしない、2014年のROCK IN JAPAN FES.に一人で参戦した時のことである(一人フェス参戦はデフォです)。初めて観た矢沢の永ちゃんが圧倒的なオーラとカリスマ性でシビれさせ、我がアジカンがNUMBER GIRLの「透明少女」をカバーし、正直そんな周りがあまりピンと来ていない中、心の中で私を大興奮をさせたあの日だ。(イントロ鳴ったコンマ0.2秒でシビれたわ)
自分はフェスに関してはあまりフェス的な楽しみ方をしないというか、かなり目的のアーティストを絞ってから観に行くタイプなので、その場での新しい音楽との出会いみたいのものはそんなに求めていないところがあるのだ。しかしそんな中、たまたま移動中に心地良いピアノの音と、それをバックにパワフルに歌う安藤裕子の歌が耳に入り、「むむっ、何だこの曲は」となったのである。揺さぶられたのだ。そして後日セットリストを確認し、この「サイハテ」に辿り着いた次第である。出会えて良かったなと。
そんな出会いもあり、また曲の世界観もあり夏のイメージが強い1曲である。
是非ともご一聴あれ!
ではまた!