誰しもが、心の中にずっと残っている思い出の一曲があるはず…音楽とは人生だ…。
ーアッチ・カタスミーノ(1989~)
今回ご紹介させていただく1曲は、Janne Da Arc「feel the wind」である。
言わずと知れたヴィジュアル系ロックバンドの雄、Janne Da Arc。特に活躍した2000年代は彼らの時代と言っても過言ではないだろう。ルックスの良さもさることながら、メンバー5人それぞれの卓越された演奏力と歌唱力、そしてVo.yasuによる、V-ROCKとJ-POPの垣根を越えたキャッチ―なメロディが光る楽曲は、音楽ファンのみならず多くの人々の心を掴んだのである。
代表曲の「月光花」や、「霞ゆく空背にして」「ダイヤモンドヴァージン」等、誰もが聞いたことがあると思われる曲が多く存在するが、特に私が狂おしく愛おしい曲が「feel the wind」である。
2001年12月avex traxよりリリース。Vo.yasu作詞・作曲のポップナンバーである。リリースから数年後、私が高校生くらいの頃に確か弟の影響でこの曲に出会った記憶がある。
非常に堪らない1曲である。爽快で澄み切ったストリングスの音色が楽曲全体を彩る。「別れと新たな始まり」が表現されている曲であるが、ストリングスの音色の美しさと力強さによって、より一層“旅立ち”を歌う楽曲の世界観が鮮明に浮かび上がってくるのだ。
軽快な四つ打ちのリズムと見事に絡み合う。裏打ちのハイハットの音がまた綺麗なのである。これは一種のフェチポイントであるが、是非聴いてご理解いただければ嬉しく思う。
そしてBメロやサビ前におけるリズムのキメが良い味を出しているのである。この曲の主人公の、心揺れ動きながらも前へと進む切ない心情をドラマチックに表しているのである。
リズムとテンポ感、メロディに演奏どれもが私のツボを突いてくるのである。先述のように、まさに“V-ROCKとJ-POPの垣根を越えた”1曲なのである。一般的なヴィジュアル系バンドの曲では、マッドでブラッディでセクシュアルでどこか危険な雰囲気が漂うことがよくあるが、ここまで爽やかでポップで、淀みないメジャースケールで作られたこの曲はその要素を全く感じさせないのである。そのような曲を生み出せることがJanne Da Arcの魅力であり、強味であるのだが。
そして何よりもyasuの歌声が素晴らしい。堪らない。
ラストのサビにおけるダメ押しの半音上げで、いよいよ絶頂を迎えるのである。もはや卑怯なレベルである。しかし、最強すぎるのだ。半音上げ転調は、いとも簡単に更なる盛り上がりを作れる一種のドーピングアレンジだと私は思っているが、「feel the wind」に関しては正しいと言わざるを得ないのである。ドハマっているのである。
そしてカラオケでこの曲を歌う私の喉も絶頂(と言う名の絶望)を迎えるのだ。高いよ…。
ポップソングは“歌いたくなる”という要素もとても重要だと感じるのだ。
故にサビの「I feel in the wind, the wind in the sky Without your love」における語感の良さ、声に出したさみたいなところが名曲たる所以をより色濃くしているのだ。耳に残るメロディと歌詞、素晴らしいのでございます。
しかしながら、長い活動休止期間からの2019年突然の解散劇はショックなものがあったわけで…ファンの方は心底ガッカリだったのではないだろうか…。
ともあれ「feel the wind」夏にもピッタリな1曲ではないでしょうか。是非とも皆さんもご堪能あれ。
ではまた!